いま一番サイト開設が待望されております、ありままさんが、SSを書いて下さいました。
恐れ多くも茶で描いた私のイラストに……。
自分のことを棚上げにして、無茶振りの限りを尽くしましたのに、この恩恵っ!
ありがとうございましたー!!
ではでは、ありままさんの素敵堂郁です。どうぞ!

※大事ないただきものです。お持ち帰りはご遠慮下さい。




「触れ合う視線」


・・・どうしょう・・
ホテルのベッドにちょこんと座った郁は、あたりを見回したまま落ち着きをなくしていた。
こういうところに来るのは、もはや初めてではない。
だけど、いつまで経っても慣れない。
ましてや、今日は一人でここにいる。こういう状況は初めてで、郁はくつろぐこともできずに、ひたすら堂上を待っていた。

公休前に外泊することはよくあることで、いつもなら駅で待ち合わせて、食事をしてからのチェックインとなるのが、今回ばかりは違っていた。
すでにホテルを予約した状況で、都内図書館の定例会議出席の話が来たのは、公休の三日前だった。例によって例の如く、隊長の丸投げで「お前、緒形と二人で行って来い」の一言ですべてが決まった。
キャンセルするかと郁とも話したが、せっかくなので行きたいと郁は言った。
堂上にとってはうれしい言葉だったが、キャンセル料の心配でもされたかと、思わないでもなかった。会議の場所が場所であるし、議題によっては何時に終わるか分からないので、「先にチェックインしてろ」と指示を出した。
会議が終われば、直接ホテルに向かうからと・・・。
そうした訳で、郁は一人ホテルの一室で、ひたすら堂上を待っているのであった。

いつまでそうしていたことだろう。
不意に、かちゃりとドアが開いて、「遅くなってすまなかった」と声がした。
ドアに背を向けるようにベッドに腰かけていた郁は、ゆっくりと振り返りほっとしたように微笑んだ。
「飯は食ったか?」という問いに、ふるふると首を振り「まだです」と呟いた。
「そうか、今から出るより、ルームサービスを頼むか」
そう言って荷物を置き、ホテル案内を確認するのを郁は黙って見続けた。
「・・・ん? どうした? 」
振り返った堂上にどきりとする。
おかしい、おかしいよあたし。確かに今日一日教官はいなくて、逢うのは昨日ぶりだけど、何でこんなに緊張してるのーー!!
真っ赤になるほほを押さえて、あたふたする郁に、ぶっと噴き出して「声に出てるぞ」と堂上が言った。
「ええーーっっ」
「叫ぶな、うるさい」
そう言いながら郁の正面にきた堂上は、座っている郁を見下ろした。
あ、こうやって教官見上げるのって、珍しいかも。
そう思った視線が絡まった。
そして、絡まった瞬間から、郁は堂上から目をそらせなくなっていた。
見慣れているはずの堂上の顔が、見上げているせいで違う人のようにも見える。
見つめる瞳の中に自分の姿を確認して、自分も見られているのだと気づく。
・・・どうしよう、そらせない・・・。
ふっ、と堂上が息を吐き、わずかに微笑んでから「そんなに見つめてくれるな」と呟いた。
そして、やんわりと頬を撫でられ、息遣いが感じられるほどに顔が近付いてきた。
そこまで近づいてやっと、郁は瞼を閉じた。


Fin




最後に余計なのつけちゃいましたが……。
こんなん描いといて「Rでも!」って無茶振りしました。すみません。orz
こんな素敵な文章を書かれるのに、サイトをお持ちじゃないんですよね〜。
ご本、作られないのかなぁ……(ボソリ)
ありままさん、ありがとうございました!

inserted by FC2 system